媚びない猫ならひょいと抱えて。
暖かい部屋と白い冷たいミルクを。
きみの場所
見え透いた嘘をつくんだな。
第一印象だった。
子供であることを自覚しているくせに背のび、背のび。
そんなに背のびをしたら、くつのつま先が減ってしまうよ。
場合によってはかわいいものだけれど。
くすんだグリーンの髪を梳こうとすると子供扱いするなと牙をむく。
いつだって寂しい、そんな顔をしているくせに。
よりかかる何かをずっと探しているくせに。
この町で迷っていないやつなんていない。
けれど。
多分、こいつはずっと前から迷いっぱなし。
手を取られても、どこにいくのと聞かれるのが怖いんだ。
年甲斐も無くその何かになってみたいだなんて。
どこにいくのかなんて聞かない。
連れて行くよ側にいるよ。
いつもは担いだジャケットに袖を通して深呼吸ひとつ。
迷い猫を捕まえるまであと少し。
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((おやじこいをする))